移動平均線を使った取引手法についてご紹介します。移動平均線は、一定期間の平均値をグラフにした線ですが、移動平均線の種類は4種類あり、期間の設定も人により様々です。
どの種類の移動平均線を利用して、何の期間を設定すればよいのかも含め、この記事では移動平均線の使い方をパソコン版MT4の画像つきで詳しく説明しています。
関連記事 移動平均線をチャートに表示する方法
目次
移動平均線を使う主な3つの理由
FXにおいて移動平均線は、最もポピュラーなテクニカル指標ですが、そもそも何故移動平均線を使うのでしょうか。
それには、下記の3つの主な理由があります。
相場のトレンドを判断する為
トレンド転換のポイントを判断する為
価格の反発や反落箇所を判断する為
移動平均線を表示していないチャートだけでは、トレンドの正確さやトレンド転換の地点、価格の反発反落の地点の判断が難しいです。
しかし、チャートに移動平均線を一つでも表示することにより、上記3つの判断が簡単になります。
上記チャート例のように、移動平均線が下向きであれば下落トレンドとなり、移動平均線が上向きならば上昇トレンドとなります。移動平均線が下向きから上向きになった箇所が相場の転換ポイントです。
また、赤丸の箇所は価格が反発や反落しているポイントです。赤丸の箇所で売りや買いの判断が可能になります。
このように、移動平均線をチャートに表示することで、見えづらかった売買の判断材料が見えやすくなります。
移動平均線の種類
移動平均線は、4つの種類があります。同じ期間の移動平均線でも、それぞれ計算式が異なり、微妙に異なるグラフになります。
単純移動平均線(MA):MT4の表記は「Simple」
指数移動平均線(EMA):MT4の表記は「Exponential」
平滑移動平均線(SMMA):MT4の表記は「Smoothed」
加重移動平均線(WMA):MT4の表記は「LinearWeighted」
単純移動平均線と指数移動平均線
株やFXで最も利用されている移動平均線は、「単純移動平均線」と「指数移動平均線」です。
単純移動平均線(MA)は、単純に過去の一定期間の終値の平均値をグラフしているだけです。株トレーダーで使う人が多い傾向があります。
指数移動平均線(EMA)は、過去の一定期間における終値の平均値に平滑化定数を掛けた値をグラフにしています。FXトレーダーは、指数移動平均線を使う傾向があります。
指数移動平均線(EMA)は、単純移動平均線(MA)よりも直近の値動きに早く敏感に反応するため、短期売買のタイミングを掴みやすくなります。
移動平均線の期間
移動平均線の期間とは、どのくらいの期間の平均値を算出するかの設定です。
例えば、日足チャートで期間「5」の移動平均線を表示した場合は5日移動平均線となり、過去5日間の平均値をグラフで表していることになります。
そのため、表示しているチャートの時間足によって各期間の意味が異なります。
期間20を設定した移動平均線の場合
月足チャート = 20ヶ月分
週足チャート = 20週分
日足チャート = 20日分
4時間足チャート = 80時間分
1時間足チャート = 20時間分
15分足チャート = 5時間分
1分足チャート = 20分分
移動平均線の期間設定の目安
移動平均線の期間は、自由に設定できますが、主に利用されている移動平均線の期間は、キリの良い数値です。
15分足チャートであれば、「4・8・12…」など4の倍数がよく使われます。4の倍数が使われる理由としては、15分足チャートの4の移動平均線が1時間の平均値を表しているためです。
時間足 | 移動平均線の期間 |
---|---|
15分足 | 4、8、12、16、20、24、48、64、96など |
1時間足 | 4、8、12、24、36、48、72、96、120など |
日足 | 5日、10日、20日、22日、25日、50日、75日、100日、200日など |
週足 | 13週、26週、52週など |
月足 | 12ヶ月、24ヶ月、60ヶ月など |
株やFXは土日が休場となるので、1週間は5日となります。そのため、日足チャートにおいては、5の倍数の期間で設定するのが一般的です。
移動平均線を使った手法
移動平均線を利用した取引手法は、大きく分けて下記3つの手法があります。
トレンドの判断による手法
抵抗線と支持線による手法
複数の移動平均線同士の交差による手法
1. トレンドの判断による手法
移動平均線が下向きか上向きかにより、相場のトレンドを掴み売買を判断する方法です。
移動平均線が上昇: 上昇トレンド(買い注文)
移動平均線が下落: 下降トレンド(売り注文)
複数の移動平均線を表示している場合は、全ての移動平均線が同じ方向に傾くことで、よりトレンドが強いことを意味します。
移動平均線が上向きで上昇トレンド継続中の時は買い注文を行い、移動平均線が下向きになった地点で決済。(又はその反対)という取引例が可能です。
チャートの時間足により、移動平均線の下向き上向きかが当然変わってきます。
5分や15分足などの短い時間足チャートで取引する場合は、1時間や4時間足チャートの上昇/下落トレンドと同じトレンドになったときに取引した方がリスクは少なくなるでしょう。
2. 抵抗線と支持線による手法
移動平均線は、抵抗線や支持線の役割にもなります。
抵抗線(レジスタンスライン)とは、価格が下落中に反発して上昇する線のことをいい、支持線(サポートライン)とは、価格が上昇中に反落して下落する線のことをいいます。
- 買い判断
価格が移動平均線の上に抜ける: 買い(順張り)
移動平均線で価格が反発: 買い(逆張り)
- 売り判断
価格が移動平均線の下に抜ける: 売り(順張り)
移動平均線で価格が反落: 売り(逆張り)
移動平均線を支持線と抵抗線と考え、上記のように取引することもできます。
複数の移動平均線を表示している場合は、全ての移動平均線を価格が抜けることで、更に強いトレンド転換を意味します。
3. 複数の移動平均線同士の交差による手法
短期の移動平均線と中長期の移動平均線の2本以上(通常は3本)の移動平均線を表示させ、2つの移動平均線が交差する地点で売買を判断することもできます。
短期の移動平均線が中長期の移動平均線を上回った地点は、ゴールデンクロスとなり買いのサインとなります。
短期の移動平均線が中長期の移動平均線を下回った地点は、デッドクロスとなり売りのサインとなります。
移動平均線を使った手法と使い方まとめ
移動平均線を使う理由は主に3つ
1.相場のトレンドを判断するため
2.トレンド転換のポイントを判断するため
3.価格の反発や反落箇所を判断するため
移動平均線は4種類あるが、主に使われているのはMAとEMA
期間は時間足チャートにより異なるが切りが良い数値がよく使われる
移動平均線を使った手法は主に3つ
1.トレンド判断による手法
2.抵抗線と支持線による手法
3.複数の移動平均線同士の交差による手法
移動平均線は、世界中のトレーダーに利用されている最もポピュラーなテクニカル指標です。稼いでいるトレーダーほどシンプルなテクニカル分析しかしないとも言われています。
最もポピュラーだからこそ、移動平均線の信頼性が高く、適切に取引に利用すれば利益が出やすくなります。
まずは、デモ口座で自分に合った移動平均線の使い方をマスターしてみるのも良いでしょう。
関連記事 移動平均線をチャートに表示する方法